最近は電気の自由化にともない、電力会社以外の楽天やau・ソフトバンクなども電力供給サービスをスタートしていて、電気をたくさん使用している家庭では電力会社を変更するとお得になる場合もあるようですね。
新しい電力会社と契約するとき必ず変更されるのが従来の電気メーターから、電気スマートメーターに変更されます。
この電気スマートメーターは家庭内のHEMS機器と通信して電力の使用量などの状態を常時確認できるので非常に便利ですがHEMS機器の導入は工事と機器の費用がかかります。
- 電気スマートメーターと自作HEMSで電気の見える化 準備編 (現在このページにいます)
- 自作HEMS 激安電気の見える化 完成!
そこで自分の場合は、電気使用量を見える化するためにスマートメーターと、スマートメーターと通信できるWi-SUNモジュールを使ってラズパイで電力を表示する電気の見える化ハックが完成したので紹介します。
ほんとうは電気スマートメーターの導入と同時にHEMSというシステムを導入するとよりできる事が増えそうですが、賃貸マンション(自分も)や借家などの場合はHEMSを導入するわけにはいかず、HEMSも高額なので、使用した電気量を見るだけのためにHEMSは不必要。
持ち家でソーラー発電して売電している場合はHEMSを導入している家庭がほとんどだと思います。
そうではなく、ちょっと電力の使用をみたいだけの場合はもっと簡単に安く、スマートメーターとちょっとした機材さえあれば通信だけで積算電力や瞬間電力を見える化できます。
すでに電気スマートメーターになってる?
現在自分の住んでいる地域の電力会社は九州電力ですが、どの電力会社でも東京電力でも同様にスマートメーターに変えたい場合は無料で変えてくれますので参考にしてください。
でも、経済産業省は2024年末までに日本のすべての家庭がスマートメーターに切り替える計画のようなので、もしかしたらあなたのウチもすでに自動的にスマートメーターになってるかもしれません。
数値がデジタル表示で、金属の円盤がクルクル回っていなければスマートメーターです。チェックしてみてください!
電気使用量 見える化 完成の図
今回構築するのはスマートメーターにLINUX(ラズパイ)からWi-SUN通信して、電力のデータを取得して、InfluxDBに保存・Grafanaで表示するところまで。
ラズパイのOSからInfluxDB・Grafanaの構築は以下を参考にしてくださいね。
今回スマートメーターからデータを取得してDatabase(InfluxDB)に保存・グラフ表示の結果は以下のように表示させたり、↓(ソーラーパネルを設置して売電されている方は逆方向の数値も変化がありますが、売電してない場合は逆方向の数値は変化ありません。)
瞬時電力を小さなディスプレイに表示させたりすることができました。↓
家庭の電力使用量をグラフ表示させてみたい方は参考にしてくださると嬉しいです。
スマート電気メーターとは?
電気使用量をアナログではなく、デジタルで計量して通信機器も搭載されているので電力会社にほぼリアルタイムで各家庭の電気使用量を把握できる。
電力会社は検針員を各家庭に派遣して検針する必要がなくなることが最大のメリット
ウチは賃貸マンションですが、↑電力メーター情報発信サービス(低圧Bルートサービス)を申し込んだら無料でスマートメーターに変えてくれました。
今までのアナログメーターのように金属の円盤がクルクルとまわっておらず、数値がデジタル表示なのが特徴。
ソーラーパネルを設置して電力会社に電気を売電している場合はデジタル表示が10秒ごとに使用電力量と売電量の表示に変わるようですが、賃貸マンションではずっと使用電力量の表示のみです。
スマートメーターは今は変わってない場合でも、電気メーターの使用期限が10年のようなので、申し込まなくてもあと数年でどの家庭でも自動的にスマートメーターに変わってくると思います。
スマート電気メーター 導入のメリット
最大のメリットは検針が不必要になりますが、屋内から無線通信もできるので、この無線通信をHEMSを使わず、このページではお安く使用電力情報をハックしようというお話。
- 電力会社が検針の人件費を節約できる
- 無線通信機能で屋内のHEMS機器やWi-SUN対応通信機器と接続可能
HEMSとは?
HEMSとはHome Energy Management System(ホーム エネルギー マネジメント システム)の頭文字をとった略で、スマート電気メーターと一緒に使うと使用電力量・売電量を見える化できるシステム。
HEMSは簡単に言うと、電気やガスの使用量をディスプレイで見える化したり、エコキュートやソーラー発電・家電を制御できるようになる。
こちら↓はPanasonicのHEMSシステムの概略図。
政府は2030年までに日本のすべての家庭をHEMS導入することを目指していますが・・・どうなるんでしょうか?ほぼ新築の家にしか導入されていないか、ソーラーパネルを設置して売電している家庭にしか普及されてないようですね。
現状では各メーカーがバラバラにIoTの電気製品を独自のアプリで管理するようにしていますが、HEMSを導入すると?家のあらゆる電気製品をコントロールすることができるようになる?とはいかないかな。
HEMSだけですべての家電をコントロールできるようになるにはちょっと無理がありそう。
HEMSに必要な機器
最低限は以下のような配電盤(Panasonicではスマートコスモ)と受信機(Panasonicはアイセグ2)が必要になりそうです。
HEMSには補助金がでる自治体もあって新築を建てる場合で、補助金が出る地域だとお得にHEMSを導入できそうです。
HEMSとスマートメーターの違い
スマートメーターは電気使用量を計量するメーターで、メーター自身が通信機能を持っている。
HEMSは配電盤から先のエコキュートやソーラパネル、各種家電を監視・操作するシステム。
- HEMS:専用配電盤と通信機器 電力使用量・売電量を監視、対応している家電をコントロールできるシステム。
- スマートメーター:電気メーターで通信機能付き 電力会社の検針人件費削減・ほぼリアルタイムで電気使用量を取得
今回はHEMSは導入せずにスマートメーターに無線通信で接続して、計量した電力量を取得して見える化していきます。
スマート電気メーターを見える化するのに必要なもの
スマートメーターとWi-SUNモジュールがあれば、ラズパイ以外にもESP32などでもできますが、今回は簡単にラズパイを使ってスマートメーターと通信していきます。
準備するものとしてWi-SUNモジュール(8千~2万円ほど)やラズパイ(Linux)を用意しないと受信できないので、少し敷居が高いかもしれません。
ハードウェア
- 電気スマートメーターに変更(各地域の電力会社に依頼する 無料)
- Wi-SUNモジュール (受信機 USBドングルが便利で8千円前後)
- Raspberry Pi(5千~1万円 LINUXなら何でもOK)
ラズパイとWi-SUNモジュールUSBドングルをいくつか紹介します。
ラズパイ
ラズパイは旧型のラズパイ3B+でも新型のラズパイ4B+でもお好きなのをどうぞ。
小さいラズパイZeroでも問題ないと思いますが、USBがMicroUSBなのでWi-SUNモジュールのUSBドングルを使う場合は変換アダプタが必要になります。
Wi-SUNモジュール USBドングル
Wi-SUNモジュールは電子基板のものもありますが、USBドングルタイプのほうがラズパイにUSBでさせるので便利です。
ROHM 無線通信モジュール BP35C2
Wi-SUN対応小型汎用モジュール
既存のホームゲートウェイなどに後付けできるため、簡単にWi-SUN環境を構築することが可能です。
JORJIN WSR35A1-00 Wi-SUNモジュール
HEMSに最適なWi-SUN対応ファームウェア(TTC JJ-300.10のA方式準拠)を搭載
内蔵モジュールBP35A1にて32bitのハイパワーマイコン採用。
オールインワンドングルで無線機能をらくらく導入。
日本国内における特定小電力無線(920MHz帯)の電波法認証取得済みでアンテナも内蔵しているため、高周波設計が不要になり容易な導入を可能にします。
ラピスセミコンダクタのML7396Bを採用し、業界トップクラスの受信感度を達成。
無線の特性として一番重視される受信感度においては、業界トップクラスの-103dBm(100kbps、BER<0.1%)を実現。
つながりやすい特定小電力無線の中で、さらに高い通信品質を可能にしました。
HEMS用 Wi-SUNモジュール, Wi-SUN Route-B 専用 RL7
Wi-SUNアライアンスの認証取得済み (Route-B)
HEMS コントローラ用920MHz帯通信モジュール
Wi-SUN Route-Bプロファイルを搭載
HEMSコントローラ用USBインターフェース搭載
USBドングルタイプで業界最小サイズ
USBインターフェースはWindowsのみならず、Linux(Android)に対応
HEMSコントローラからUSBインターフェース(Virtual COM Port)経由でASCII型式のコマンドを発行しで制御
個別設定(MACアドレス等)記憶用不揮発性メモリ内蔵
自分は一番安い↑RL7023というドングルを買いました。
Wi-SUNモジュール RL7023 USBドングル購入
こちら↓が製品を販売しているTSSRという会社。こちらからも買えます。
Chip1Stopというショップでも購入可能。
見積もり依頼をしなくてはいけないのでちょい面倒ですが、適当に依頼して2.3日後にサイトをのぞいてみると買えるようになっていました。
買ったときは価格は税込みで8060円でした。
他の2つのUSBドングルはアマゾンでも買えますが、RL7023はチップワンストップか製造元からしか買えないようです。
ソフトウェア
以下を用意します。1~3まではすでに説明してありますので、それぞれのページを御覧ください。
- OS:Linux(Raspberry Pi OS)OSインストール
- Database:InfluxDB(お好きなDatabaseに保存する)インストール・設定
- グラフ表示:Grafana(お好きなものでOK)インストール・設定
- スマートメーターにアクセスするPythonスクリプト
4番のPythonですが、こちらの方がすでにPythonでスマートメーターに接続するスクリプトを作成されていますが、こちらは瞬時電力計測値だけ取得できるスクリプトだったので、これを改造して積算電力量なども取得できるようにしました。
実際のスクリプト・実行方法などは後ほど詳しく説明していきます。
無料でアナログメーターから電気スマートメーターに変更してもらう 前準備
スマートメーターに変更してもらうには申し込んでから2~3週間かかりますので、まだアナログメーターの場合はお早めに申し込んでおきましょう。
まずは、契約している電力会社のサイトにアクセスして、ログイン後に「供給地点特定番号」を取得していきましょう。
電力会社のサイトで供給地点特定番号を取得する
自分の契約している電力会社は九州電力なので、キレイライフプラスのサイトに行きます。
ちなみにウチのマンションは最初は50Aでしたが、節約のために基本料金が安くなる30Aに変更しました。不動産屋さんに聞きましたが、アンペアを変えても引っ越しする前に50Aに戻せば問題ないようです。
以下、ログインした状態です。「もっと詳しく見る」ボタンを押します。(去年から記事を書き出したので画像がちょっと古いものですみません。)
「月別実績」タブを押すと以下のようになって必要な番号は「供給地点特定番号」です。
この供給地点特定番号を確認して申し込みをしていきましょう。
自分でハックしなくても九州電力のページを見れば事足りるかも・・・
ここで元も子もない事を言いますと、九州電力のキレイライフプラスの会員ページを見れば、毎日どのくらい電気を使っているかは一目瞭然に分かってしまいます。
なので、手っ取り早くネットで見たい場合は↓この1日毎の実績ページや月別実績ページを見ればいいかもしれません。
1年間の毎月の使用量と料金もグラフで表示してくれるのも便利。
他の家庭と比べて↓節約しているほうだと思います。見てみると1月がなぜか夏よりも使用量が多い、電気カーペットかな?あっ、布団乾燥機かもしれない。
古いエアコンでした・・・エアコンは冬のほうが電気を食うらしい。
ただ九州電力のサイトはよく夜中から朝7時まではメンテナンスでログインできない場合が多いのが残念なところ。
電力メーター情報発信サービス(低圧Bルートサービス)申し込み
それでは実際にスマートメーターに変更してもらうために「電力メーター情報発信サービス(低圧Bルートサービス)」を申し込んでみましょう。
ここで低圧Bルートというわけのわからない用語が出てきたので簡単に説明します。
一般家庭は低圧
まずは低圧ですが、ほとんどの一般家庭の場合は100V低圧電力を使っていて、ちょっとした工場や大きめのエアコンの場合は200Vの低圧電力、大きな工場や大きなマンションの場合は6600Vと高い電圧の高圧電力になってきます。
マンションに住んでいてもキュービクル式高圧受電設備で変圧されるので、マンションの個々の家庭はほとんど100V、もしくは200Vの低圧電力になります。
ということでほとんどの家庭は低圧電力になります。
Bルートとは?
スマートメーターとHEMS機器との通信ルートのことで、電気メーターをスマートメーターに変更すると、個別にIDとパスワードを教えてもらえて、それをHEMS機器に設定すれば積算電気量などのデータをスマートメーターから取得できます。
経済産業省のPDFに「B」の説明がありました。右下のほうの「B」がBルート
ようはスマートメーターから通信機器(HEMSなど)の通信のことをBルートと言うようです。
スマートメーター 各電力会社の申し込みページ
各地域の電力会社のスマートメーター化申し込みページは以下を御覧ください。
Web申し込み、書面申し込みなど、電力会社によって違うようです。
九州電力
関西電力
四国電力
北陸電力
東京電力
中国電力
沖縄電力
北海道電力
東北電力
中部電力
九州電力で申し込み例
例として九州電力のコチラのページから申し込んでみます。九州電力はWebで申し込めるので簡単でした。
Web申し込みはすでに電力会社から給電されている場合のみ申し込みできるようです。
ボタンを押します。
供給地点特定番号 入力
ここで先程電力会社のページで取得した供給地点特定番号を使います。
次へボタンを押すといきなり申し込み完了。
簡単ですね♪
これで電気スマートメーターに変更する手続きは終わりました。
あとは、電力会社の方がスマートメーターに変更しに来てくれますので待ちましょう。
次回は電気スマートメーターを設置してもらった後に、ラズパイとWi-SUNモジュールを使って電気使用量を取得・見える化していきましょう。(遅くなりましたが更新しました。)
コメント
pythonの基礎から勉強中です。
def influx_json(field,nowtime=”):
の終わりはどこでしょうか?
returnは不要なのでしょうか?
onusay様
コメントありがとうございます。
自分もPythonは詳しくないので、ちゃんとお答えできるか不安ですが・・・
client.write_points(json_body)の部分でデーターをInfluxに送信しています。
なので、返り値(return)などは不要です。
Pythonはインデント(タブやスペース)で一つのブロックと認識されるようにできているので、PHPなどの他の言語のように{}は不要です。